長寿の色
白寿祝いの色
お祝いごとに決められた色「白寿の白」そして黒について |
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白色と黒色について。99歳のお祝いである白寿に採用されている白色、日本人に愛されている黒色はどのような歴史があるのでしょうか。今回は、白寿祝いの白、冠婚葬祭でも採用されている黒、日本の白と黒について。 |
白と黒の歴史とイメージについて
白色・黒色は色味がなく彩度がゼロである無彩色とされています。どちらかというと、白と黒は相反する色ですよね。白色は清純や洗練されたイメージがありますが、看護師などの医療関係従事者や調理師などの制服にも数多く採用されています。結婚式の花嫁の衣装として純白のウエディングドレスのイメージが強いと思いますが、これは19世紀・イギリスのヴィクトリア女王が定着させたと言われており、そのなごりが今なお続いているのです。
また、日本の伝統色である黒色は、黒星や喪服に使われるなど負のイメージが強い印象がありますが、明るい色を目立たせる特徴があり、高級感を与える色として多くの人に好まれています。また古くは平安時代より女性が身を飾るものとしてお歯黒などが流行しました。他にも、室町時代に名をはせた雪舟の水墨画など、伝統を重んじる日本人には切っても切れない色なのです。
白寿などお祝いごとに扱われる白色/font>
99歳のお祝いである白寿の由来は百から一を引くと白になることからとされています。また百歳のお祝いである百寿でも白がイメージカラーとされています。読んで字のごとく白いものをプレゼントすることが多いのですが、どんなものがいいのかわからない時は専門サイトで検索してみるのも良いでしょう。女性に贈るものとして白い花などを贈っても良いとは思うのですが、花言葉によっては、マイナスなイメージなものや死などを連想させてしまうことがありますので、必ず調べておきましょう。 それぞれが細々としたものをプレゼントしても良いですし、家族や親類と相談して豪勢なものを1つプレゼントしても良いと思います。
おまけ
日本古来の白色や黒色には、ニュアンスの違った様々な色があります。ご参考までに!
白系
灰白色(かいはくしょく)=
灰色を少し含む白色。隙間を埋めるパテなどはこの色を採用されることが多いです。一見純白と見間違えられがちですが、白からずれた色をさします。ちなみに白に近い色で形容し難い色の総称を灰白色と呼ぶそうです。
銀白色(ぎんはくしょく)=
銀色を帯びた白色で、シルバーホワイトと呼ばれています。見た目は明るい灰色。近年では銀白色の畳が使われ、東京地下鉄・日比谷線のラインカラーや、元大関がまわしの色として銀色がチョイスされていることでも有名な色です。
青白色(せいはくしょく)=
読み方は、「あおじろいろ」ではなく、「せいはくしょく」と読み、見た目は青みを帯びている白色。あまり馴染みのない色だと思われがちですが、家庭で使うLEDの電球や蛍光灯ランプによく採用されています。
乳白色(にゅうはくしょく)=
黄色がかった不透明で乳のような白色です。温泉の湯の色に形容されることが多い色で、半透明のアクリル板の色名などにも使われています。近年では女性のネイルの色などに採用されることが多く人気のカラーとして選ばれています。
黒系
暗黒色(あんこくしょく)…
暗黒界などの光をささない真っ暗な暗黒を表した状態の色です。希望が持てない、不安や未知の存在がある状態をさす例えの言葉として使用されています。JIS規格外の色で、日本の伝統色として多くの人に知られています。
黒橡(くろつるばみ)…
黒に近い濃いねずみ色で青みがかった黒色で、喪服に用いるのがこの色です。「万葉集」に「橡の衣」という言葉が登場しますが、これは黒橡色のこと。橡とはクヌギの古名で、その実を染色に用いてきました。
烏羽色(からすばいろ)=
鳥の羽の色で黒く青みがかった、光沢がある色です。別名、濡鴉や濡れ羽色などとも例えられています。鴉の羽のような色で、「万葉集」では黒くつややかな髪の毛を形容する言葉として用いられていることでも有名です。
漆黒(しっこく)…
黒いうるしを塗ったようなつやがある色で、純黒と表現されることもある純粋な黒色で、純白の対義語。英語ではジェットブラックと呼ばれます。光がない闇などの例えとして「漆黒の闇」などが使われることが多いですね。
傘寿・米寿・卒寿祝いの色
お祝いごとに決められた色「傘寿・米寿・卒寿の黄色」 |
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様々な諸説がありますが、80歳のお祝いである傘寿、88歳のお祝いである米寿、そして90歳のお祝いである卒寿はすべて黄色でお祝いします。今回は、傘寿・米寿・卒寿祝いの黄、日本の黄色について。 |
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三原色の1つ黄色について
黄色は赤色と青色と並んで三原色の1つです。視覚から温かい印象を受けるとして暖色とされています。また、一番明るく賑やかな色で、安全や警告として昼夜でも認識しやすく注意の色と我々は認識していますよね。現在では小学生の帽子やバッグにも多く採用されています。また脳を刺激し、アイデアが欲しいときなどに使うと柔軟性が高まると言われています。
歴史をひも解いていくと、中国最初の皇帝のイメージカラーが黄色とされ、中国第二の大河の名前は黄河と呼ばれています。黄色は太陽の色、天子の色として、権力そのものを表していたようです。このように古来の中国では高貴な色として崇められていました。日本でも改訂される以前の冠位十二階で、「大信」「小信」という階位に黄色が取り入れられていました。また特別な黄丹(おうだん)や黄櫨染(こうろぜん)は、大宝律令で庶民や貴族にも禁色とされており、天皇のみが着用することができました。
傘寿・米寿・卒寿は黄色でお祝い
まずはそれぞれの由来から説明すると、80歳のお祝いである傘寿は傘の略字が八十に見えることが由来とされています。また、88歳のお祝いである米寿は米の字を分解すると八十八に見えることから呼ばれ(八十の人と読む説もあり)、鳩の頭のついた鳩杖(きゅうじょう/はとのつえ)を贈る習わしもあります(鳩は食べ物をむせないことより)。そして90歳のお祝いである卒寿は卒の略字が九十に見えることがいわれとされています。
賀寿というのは長寿を喜び、健康でいてほしいという慣習から生まれたものですので、家族や親類で盛大にお祝いしましょう。プレゼントは黄色のものが良いとされています。本人に喜ばれるものは何か? あらかじめリサーチしておくと非常に喜ばれますよ。80~90歳まで、10年に3つの同じような黄色のお祝い品を渡すのなら、いろんなパターンのプレゼントをネットなどで検索して用意しておくのも良いでしょう。
おまけ
日本古来の黄には、ニュアンスの違った様々な色があります。ご参考までに!
鬱金色(うこんいろ)=
ウコンの根で染めた色で、赤みをおびた濃い黄色です。スリランカでは僧侶の衣の色として知られており、英語ではターメリックと呼ばれています。江戸時代に輸入されて以降、広く愛用されたことでも有名な色です。
黄土色(おうどいろ)=
黄色がかった茶色です。JISの色彩規格はくすんだ赤みの黄と言われています。人類と古来からつながりが深い色とされ、土や大地を連想させる色であることからアースカラー(自然の色)と呼ばれているそうです。
芥子色(からしいろ)=
芥子菜の種のようなやわらかい茶色がかった黄色。JISの色彩規格ではやわらかい黄色とされています。衣類の色としてよく用いられています。近代に生まれた新しい色の名前で、マスタードの訳語という説もあります。
枯草色(かれくさいろ)=
枯れ草のような色で、黄褐色。平安時代に「枯色」という色名で呼ばれていました。別名でカーキ色とも呼ばれており、陸軍などの軍服でもよく採用されており、また、一般の衣類の色として使われることが多い色です。
黄金色(こがねいろ)=
金の放つ輝く黄色。高価の象徴である色。「金閣寺」や豊臣秀吉の「金の茶室」のような高級感のあるイメージが強い色です。山吹色にも近いと言われています。「百寿」などのお祝いとして、黄金色(金色)のちゃんちゃんこや座布団がプレゼントされることもあります。
練色(ねりいろ)=
ごく薄いわずかな黄色がかった色です。生絹を精練することを練ると言われ、そこから名付けられたと言われています。平安時代から使われてきた伝統色として長らく愛され続けています。
山吹色(やまぶきいろ)=
JISの色彩規格としてあざやかな赤みの黄色。春の季語としてバラ科のヤマブキの花ののような色です。平安時代から使われてきた言葉で、古くから黄色を表す言葉として使われています。また大判、小判などの表現として採用されることが多いそうです。
檸檬色(れもんいろ)=
やや薄めの黄色で、レモンの実の色から名付けられています。19世紀後半から大量生産された緑を含む黄色をレモンイエローと呼ぶようになり、檸檬と漢字が当てられました。類似色としてクリーム色やライムグリーンがあります。
古希祝いの色
お祝いごとに決められた色「古希・喜寿の紫」 |
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70歳と77歳の長寿お祝いといえば古希と喜寿。紫色でお祝いをします。紫はどちらかといえばお年寄りの色のイメージがありますが本当はもっと奥深いんです。今回は、古希と喜寿祝いの紫、日本の紫について。 |
古来より高貴な色とされた紫
紫というのは、日本人にとって昔から特別な色として選ばれてきました。古くは飛鳥時代・聖徳太子が活躍していた時代に遡ります。日本で604年に制定された冠位十二階では官位によって色が定められました。その最上位・一番位の高い大徳が濃い紫その次の位である小徳が薄い紫だったのです。いかにこの時代に紫が高貴な色だったのかが、うかがえます。どうやら、紫は紫草の根を染料としており大変手間がかかったため高貴な位の人物しか着用を許されなかったようです。
平安時代に入ると、十二単や源氏物語の著者である紫式部という名にも紫がありますし、さらに作中にも紫が登場しています。また、同じく平安時代に活躍した清少納言によって執筆された有名な随筆・枕草子では冒頭の第一段「春はあけぼの。やうやう白くなり行く、山ぎは少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。」こちらにも紫色が登場していますね。このように当時から世の人々の憧れの色として紫色は存在していました。紫色=お年寄りの印象というのは、こういった歴史ある気品や優美なイメージによって作り出されたのかもしれません。
古希と喜寿は同じ紫色で祝おう
70歳のお祝いである古希は、唐の詩人であった杜甫の曲江の詩である「人生七十古来稀」が由来とされています。現代では珍しくありませんが、その時代では70歳までに生きることは稀だとされていました。これより長寿のお祝いは数え年で祝われ、 77歳のお祝いである喜寿の由来は「喜」の字を草書体で書くと七十七と読めることが始まりだそうです。これから平均寿命が伸びていくであろう時代の中で、この古希や喜寿がさらにスタンダードなお祝い事になっていくことは間違いありません。
還暦の赤いちゃんちゃんこなどと同様に紫のちゃんちゃんこや紫の座布団などプレゼントするのが主流ではありますが、お年寄りにも馴染みのある色でもあるので、ワンポイントに紫があしらわれている衣類なども喜ばれるかもしれません。またこういったお祝い事は大人数でワイワイするのもいいですが、誕生日会のようなこじんまりとしたものでも喜ばれますので本人と相談するのもよいでしょう。
おまけ
日本古来の紫色には、ニュアンスの違った様々な色があります。ご参考までに!
菖蒲色(あやめいろ)=
すこし赤みが差した薄い紫色。JISの色彩規格では明るい赤みの紫とされています。菖蒲の紫の花の色から古くから用いられた色名です。近年ではしょうぶと読むのが一般的。(しゅうぶの花は実際には別の種類の色になります。)
江戸紫(えどむらさき)=
青みがかった紫の色。始まりは江戸時代の娯楽として、すでに親しまれていた歌舞伎。その歌舞伎役者の「助六」が、青みが入ってる紫を舞台で使用したことから、その名を江戸紫として愛されるようになったという説があります。
滅紫(けしむらさき)=
暗い灰色がかった紫の一種で、別名「めっし」と呼ばれています。平安時代の三大格式である「延喜式」にも登場し、朝廷の太政官の1つである参議以上の位の人が着用する外出着の色であるので、古来より高貴な色として崇められていたことが伺えます。
紫苑色(しおんいろ)=
淡い紫の色。キク科の紫苑(十五夜草)の花の色。上記でも説明したように、紫を高貴としていた平安時代に誕生したとされている色で、当時は「しおに」と呼ばれていました。着物などでも採用されており長年愛され続けています。
菫色(すみれいろ)=
少し青みがかった紫色。スミレの花びらの色。英語名はバイオレット。JISの色彩規格はあざやかな青紫とされています。特に菫としては「万葉集」などでも詠まれており、カラーセラピー界では理想を大切にしたいという意味があります。
茄子紺(なすこん)=
夏野菜の茄子の熟れた実のような赤みがかった色。JIS色彩規格ではごく暗い紫とされています。江戸時代になって使われるようになった日本古来の伝統色名で、近年ではよく衣類や陶器など日常品に採用されています。
藤色(ふじいろ)=
藤の花のような青みがかった淡い紫の色。平安時代から「源氏物語」や「古今和歌集」などに詠まれるなど、特に日本女性の着物として、古くから愛され続けています。派生した色名には藤紫や藤鼠などがあります。
若紫(わかむらさき)=
薄い紫色。「伊勢物語」や「源氏物語」ではよく若紫が用いられています。8世紀では、朝廷への出仕に着用する朝服の二位、三位の色とされており、(本来の若紫は少し濃い色となります)江戸時代からは色名として使われています。
緑寿祝いの色
お祝いごとに決められた色「緑寿の緑」 |
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65歳の長寿を祝うのが緑寿。ろくじゅと読みます。緑寿の色は、文字通り緑色です。歴史は浅いですが、還暦を赤で、古希を紫で祝うなら、やっぱり緑寿は緑色を使ってお祝いしたいですね。今回は、緑寿祝いの緑、日本の緑について。 |
そもそも、緑寿って何?
聞き慣れない方もあるかもしれませんが、65歳(数え年では66歳)の長寿を祝うのが緑寿です。もともと、60歳と70歳の間には喜寿(77歳)が、70歳と80歳の間には米寿(88歳)が、90歳と100歳の間には白寿(99歳)がありますから、60歳から70歳の間にも何かあってもいいかもしれませんね。そんな思いで生まれたのが緑寿です。歴史は非常に浅く、2002年に日本百貨店協会が提唱したのが始まりです。
昔は定年退職が60歳だったことも重なって、還暦は人生の節目という意味が大きかったですが、現在ではまだまだ元気な方がほとんど。60歳で「長寿」という実感は湧きにくいですよね。定年は65歳まで引き上げられる傾向ですし、年金受給開始も、医療における高齢者の年齢区分も、65歳からと法律で決められています。現代の世情に照らして考えると、65歳の方が変化と節目の年と言えるかもしれません。
緑色は、癒しのある命の色
自然に存在する緑の色は、安らぎと癒しを感じさせる色です。静的だけれども命を感じさせる成長の色です。数え年の66歳を「ろくろく」と読むことから、66歳の賀寿に緑があてられたわけですが、緑が選ばれたのには時代背景もあります。2000年初頭は、環境への配慮、リサイクル&リユース、エコロジーが叫ばれた時代。イメージアップにも繋がることから各企業がこぞって取り組んできた頃でした。
もちろん最近できたお祝いごとなので、世間での認知度は低いです…。言ったってまだ10年少々。でも、慣習の起源はそんなものかもしれませんね。例えば、土用の丑の日にうなぎを食べるという慣習は、平賀源内がうなぎ屋に頼まれて作ったキャッチコピーが元になっていますが、当時誰がこの平成の時代までこの習わしが続くと思ったでしょう? 今更それを商業主義的だとかあざといといって忌諱する人はいません。お祝いしたい心や楽しむことが大事だと思います。貰う方だって幸せな気持ちになるのだから今後さらに浸透していくことでしょう。プレゼントするなら、例えば緑の衣類や帽子など普段から着られるものや記念になるものを贈ると喜ばれるかもしれませんね。
おまけ
日本古来の緑色には、ニュアンスの違った様々な色があります。ご参考までに!
青丹(あおに)=
緑みのある土色。ここでの青は緑のことで、丹は緑色がかった土の色を意味しています。「万葉集」でも奈良にかかる枕詞としても青丹が使用されています。さらに、古くから染色や織物の色名として用いられています。
鶯色(うぐいすいろ)=
灰色がかった緑褐色。抹茶色にも近い。ウグイスの背の色に似た色とされており、江戸時代から染色としてよく使用されていたそうです。心理的にはストレスを和らげる効果があるとされ、柔らかいイメージを連想する方も多いでしょう。
青磁色(せいじいろ)=
ごく淡い青緑色。あまり聞き慣れない、青磁というのは、うわぐすりをかけた磁器のことで中国から平安時代に伝わったもの。元来、中国では秘色と呼ばれており唐では庶民の使用が禁止となっていたという磁器だったそうです。
白緑色(びゃくろくいろ)=
別名アイスグリーン。氷山ような透明感のある緑色で、中国から伝わったとされています。JISの色彩規格ではごくうすい緑。奈良時代には仏像の色によく用いられていました。便器や下着にも採用されています。
緑色(ふかみどりいろ)=
読んで字のごとく濃い緑色。心理的には無意識を意味するらしく、ナチュラルや誠実というイメージがあるそうです。たくさんの樹木などの暗い緑色に例えられることが多いです。浅緑の対義語。
抹茶色(まっちゃいろ)=
JISの色彩規格ではやわらかい黄緑とされています。茶道に飲用として使われている抹茶のような色で、近年では抹茶を含んだ洋菓子やアイスなどに使われているのでよく見かけることでしょう。JRの電車に採用されることも多い。
柳色(やなぎいろ)=
黄緑色に白みがかった色のこと。平安時代からある色名で「源氏物語」や「万葉集」など多く登場する色。江戸時代には柳色をモチーフに様々なバリエーションの染物として使われることとなった。春の訪れを予感させる色とされています。
若葉色(わかばいろ)=
明るい黄緑色。深緑の前の色。季語としては夏です。生えて間もない草木の若葉のような色で、イメージとしては目標の達成や判断力を高めると言われています。松尾芭蕉が読んだ句にもこの若葉色が登場しています。